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依存症(アルコール、薬物等でお悩みの方)

依存症は、お酒や薬物、あるいは特定の行為を「やめたくてもやめられない」状態に陥る脳の病気です。決して意志が弱いから、あるいは性格に問題があるからなるわけではありません。特定の物質や刺激を繰り返すことで、脳内の報酬系と呼ばれる回路が変化し、自分の意志だけではコントロールが利かなくなってしまうのです。私たちのクリニックでは、アルコールや薬物の問題で苦しんでいる方、そしてその姿をそばで見守り、疲弊してしまっているご家族のサポートを全力で行っています。依存症の背景には、人には言えない孤独や強い不安、過去の傷つきなどが隠れていることが多く、当院ではそれらの生きづらさにも目を向けながら治療を進めていきます。当院では、患者さんのプライバシーを第一に考え、安心して本音を話せる場所であることをお約束します。「まだそこまでひどくないから」と一人で抱え込まず、まずは一度ご相談ください。一歩踏み出すことが、回復という新しい人生の始まりになります。

依存症(アルコール、薬物等でお悩みの方)の症状について

依存症の症状は、大きく分けて「身体的な症状」と「精神的な症状」、そして「社会的な問題」の3つに分類されます。本人が気づかないうちに進行していることが多く、周囲が異変を感じたときには深刻な状態になっていることも少なくありません。

コントロールの喪失

依存症の最も代表的な症状は、使う量や時間、頻度を自分でコントロールできなくなることです。「今日は一杯だけにしよう」と決めていても、気づけば記憶をなくすまで飲んでしまったり、「これ以上はやばい」とわかっていながら薬物に手を出してしまったりします。本人はやめたいと願っているにもかかわらず、脳が激しく欲求を求めてしまうため、意志の力だけではどうすることもできません。

離脱症状(禁断症状)

依存している物質が体から抜けていくときに起こる不快な症状を、離脱症状と呼びます。アルコールの場合、手指の震え、大量の発汗、不眠、イライラ、ひどい場合には幻覚やけいれん発作が起こることもあります。これらの苦痛から逃れるために、また物質を使ってしまうという悪循環(負の連鎖)に陥るのが依存症の特徴です。

渇望(強烈な欲求)

その物質が欲しくてたまらなくなる強烈な衝動を渇望と言います。日常生活のあらゆる場面が、物質を連想させる引き金になります。例えば、居酒屋の看板を見ただけでお酒への欲求が抑えられなくなったり、特定の知り合いと会うことで薬物を使いたい気持ちが再燃したりします。この欲求は非常に強力で、脳がハイジャックされたような状態になります。

日常生活の破綻と優先順位の変化

病気が進行すると、何よりも物質の入手と使用が優先されるようになります。仕事や家庭、趣味への関心が薄れ、人間関係を嘘で塗り固めるようになります。

  • 大切な約束を破ってでもお酒や薬物を優先する
  • 使用を隠すために、家族や友人に嘘をつき続ける
  • 物質の影響で仕事に行けなくなったり、失職したりする
  • 借金をしてまで物質を買い求める

依存症(アルコール、薬物等でお悩みの方)の原因について

なぜ依存症になってしまうのか、その原因は一つではありません。個人の体質や環境、ストレスなど、様々な要因が複雑に絡み合っています。

脳内の報酬系回路の変化

私たちの脳には、快感や喜びを感じる「報酬系」という仕組みがあります。お酒や薬物を使うと、この報酬系でドーパミンという快楽物質が過剰に放出されます。短期間に大量のドーパミンが出る快感を脳が学習してしまうと、通常の日常生活での喜び(食事や会話など)では満足できなくなり、より強い刺激を求めるようになります。これが依存症の生物学的な原因です。

心理的な要因と生きづらさ

多くの患者さんは、もともと「自分に自信がない」「人付き合いが苦手」「常に不安を感じている」といった生きづらさを抱えています。お酒や薬物を使うことで、一時的にその苦痛から逃れることができたり、万能感を得られたりします。依存症は、自己治療としての側面を持っているとも言われます。つまり、つらい現実を生き抜くための手段として依存が始まってしまうケースが多いのです。

環境的な要因

身近に依存対象がある環境も大きな影響を与えます。親がアルコール依存症であったり、周囲に薬物を使用している仲間がいたりすると、発症のリスクが高まります。また、過度な残業やハラスメントなどの強いストレスにさらされる環境も、依存のきっかけになりやすいと言えます。

依存症(アルコール、薬物等でお悩みの方)の病気の種類について

依存症は大きく分けて3つのタイプに分類されます。当院では特に「物質への依存」を中心に対応していますが、他の依存についてもご相談いただけます。

物質依存

特定の成分を体内に取り入れることによる依存です。

  • アルコール依存症・・お酒を飲むことがやめられず、肝臓疾患や脳萎縮、家庭崩壊などを引き起こします。
  • 薬物依存症・・覚醒剤や大麻などの違法薬物だけでなく、病院で処方される睡眠薬や抗不安薬、市販の咳止め薬などに依存する場合もあります。
  • ニコチン依存症・・タバコに含まれるニコチンへの依存で、肺がんなどのリスクを高めます。

プロセス依存(行動依存)

物質ではなく、特定の行為やプロセスによって得られる刺激に依存するタイプです。

  • ギャンブル依存症・・パチンコ、競馬、カジノなどにのめり込み、経済的に破綻してもやめられません。
  • ネット・ゲーム依存症・・オンラインゲームやSNSに没頭し、睡眠不足や学校・仕事への支障が出ます。
  • 買い物依存症・・必要のないものを大量に買い、一時的な高揚感を得ようとします。

関係依存

特定の人間関係に過度に執着し、自分を犠牲にしてもその関係を維持しようとする状態を指します。いわゆる「共依存」もここに含まれることがあります。相手に必要とされることで自分の価値を確認しようとする傾向があります。

依存症(アルコール、薬物等でお悩みの方)の治療法について

依存症は慢性的な病気であり、「完治」という言葉は使いませんが、適切な治療を受けることで「回復」し、平穏な生活を取り戻すことは十分に可能です。治療は長期にわたるため、焦らず自分のペースで進めていくことが大切です。

心理教育(病気の理解)

まずは、自分自身が「依存症という病気」にかかっていることを認めることから始まります。これは否認の病(自分の問題を認めないこと)とも呼ばれる依存症において、最も重要なステップです。依存症のメカニズムや、なぜ自分の意志でやめることが難しいのかを正しく学ぶことで、自分を責める気持ちを和らげます。

認知行動療法

どのような状況で物質を使いたくなるのかという「引き金」を特定し、その場面でどのように行動すればよいかという具体的な対処法(コーピング)を身につける治療法です。「飲みたい、使いたい」という波が来たときに、それをやり過ごすための具体的なスキルを練習します。

自助グループへの参加

断酒会やAA(アルコール・アノニマス)、NA(ナルコティクス・アノニマス)といった、同じ悩みを持つ仲間が集まる場への参加は、回復に非常に有効です。自分一人ではないと感じること、仲間の体験談を聴くことが、大きな支えになります。当院でも地域の自助グループに関する情報提供を行っています。

薬物療法

アルコール依存症の場合、飲酒欲求を抑える「抗酒薬」や、飲酒による快感を抑える「飲酒欲求低減薬」を使用することがあります。また、背景にある不安や不眠、うつ状態などに対して適切な処方を行うことで、回復をスムーズにします。ただし、薬はあくまで補助的なものであり、生活習慣の改善や心理的なアプローチが治療の核となります。

ご家族へのサポート

ご家族もまた、患者さんの問題行動に振り回され、心身ともに疲れ果てています。当院ではご家族に対しても、患者さんへの適切な接し方や、ご自身の心の健康を保つためのアドバイスを行っています。ご家族が病気についての知識を持ち、適切な対応を学ぶことが、患者さんの回復を促す大きな力になります。

依存症についてのよくある質問

Q1.本人が受診を拒んでいるのですが、家族だけで相談に行っても良いですか?

A1.はい、もちろんです。依存症の治療において、ご家族が先に相談に来られるケースは非常に多いです。ご家族が正しい知識を持ち、今の苦しい状況を整理するだけでも大きな一歩になります。ご本人が来院しやすくなるようなアプローチについても一緒に考えていきましょう。

Q2.入院治療が必要ですか?

A2.離脱症状が非常に重い場合や、自傷他害の恐れがある場合、通院での治療がどうしても困難な場合は入院施設のある病院をご紹介します。しかし、当院では外来通院を続けながら、日常生活の中で回復を目指す「地域での治療」に力を入れています。患者さんの状態に合わせて最適な環境をご提案します。

Q3.一度依存症になったら、一生お酒を飲んではいけないのですか?

A3.基本的には「断酒(完全にやめること)」が回復への最も確実な道と考えられています。一度依存の状態になった脳は、少量でも物質が入るとスイッチが入ってしまうため、「節酒(ほどほどに飲むこと)」を続けることは医学的に非常に困難だからです。ただし、最近では患者さんの目標に合わせて徐々に減らしていく「減酒」のアプローチをとることもありますので、主治医と相談していきましょう。

Q4.治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

A4.依存症の治療は、数ヶ月で終わるようなものではありません。脳の神経回路が安定し、新しい生活習慣が定着するまでには年単位の時間が必要です。焦らずに、細く長く治療を続けていくことが、その後の経過(予後)を良くするための秘訣です。

院長より

アルコールや薬物の問題でお悩みの方に、私が一番お伝えしたいのは、「あなたは決して一人ではない」ということです。依存症は孤独な病気です。誰にも言えず、自分を責め、夜な夜な涙を流している方もいらっしゃることでしょう。しかし、依存症は脳の疾患であり、適切なケアを受けることで、必ず平穏な日常を取り戻すことができます。

当院では、依存症に苦しむ患者さんを「困った人」として見るのではなく、「困っている人」としてお迎えします。あなたがこれまでどんなに苦しみ、どんなに頑張ってきたか、その思いを否定することはありません。依存症の治療は、単に物質をやめることだけが目的ではありません。お酒や薬物に頼らなくても、自分らしく、楽に生きていけるようになることが本当のゴールです。

当院では、仕事帰りや買い物のついでに、ちょっと立ち寄って相談できるような、温かい雰囲気づくりを大切にしています。「もう手遅れだ」なんて思わないでください。回復を始めるのに、遅すぎるということはありません。私たちと一緒に、今日から新しい一歩を始めてみませんか。あなたが勇気を持って扉を叩いてくださるのを、私たちは心からお待ちしています。

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